十憶円の真実2(2-2)
18歳未満の方が読むのにはふさわしくない表現が一部含まれています。
18歳未満の方は読まないようにお願いします。
「あ、・・ぁ ん・・やぁ」
与え続けられる甘い毒のような刺激から逃れたくて、シーツを掴んでずるずるとベッドの上を這いあがろうとした。
しかし、腰をぐいっと掴まれ、そのまま上半身を起こされてしまう。
「ああ・・」
滝沢の膝の上に向かい合わせに抱きあげられる格好になり、自分の重みの所為で更に結合が深くなる。
響は、いやいやと首を振りながら、滝沢の首に腕を絡めた。
『好きでするんじゃない 』
掴まるところがそこしかないからだと自分に言い訳する。
口から漏れるのは、自分でも嫌になるほどの甘い喘ぎ。
「気持ちいいか?響 」
少しだけ掠れたバリトンの声音が耳朶を擽った、それだけで、ぞくりとした震えが身体を走る。
「そん・・な・・ああ・・や・・バカ・・」
そんなこと訊くな バカ野郎!と言ってやりたいのに、うまく言葉にならない。
クスッと滝沢が笑ったのがわかった。
自分だけがいいように翻弄されていて、この男だけ余裕な態なのが面白くない。
上からキッと睨んでみたが、そんな潤んだ瞳で睨みつけたところで、余計 相手を煽るだけにしかならないのだということには気づかない。
滝沢の大きな手が尻たぶに伸びる。
やわやわと揉まれ、思わずぎゅっと中を締めつけてしまい響は、咥え込んでいる男の形をまざまざと思い知る羽目になった。
しかし、その途端、うっと滝沢が小さく呻いたのを耳にして、半部蕩けそうになった意識の中、更に わざとぎゅっと締めつけてやる。
「くっ・・締めつけすぎだ 響 」
切羽詰まったような掠れた声が男の口から漏れた。
滝沢の熱い息づかいを頬に感じて、無意識にキスを強請っていた。
強く舌を吸われ、その痛みで、溶けかけた意識が少し戻ってきた。
「ひっ・・やぁ・・」
余裕がなくなったのか、滝沢が下から激しく突き上げてくる。
今度は逆に響が悲鳴のような嬌声を上げさせられた。
ぎゅっと背に回した腕に力を込めると、激しく突き上げられ揺らされる度に、滝沢のきれいに割れた腹筋に自分の分身が擦れ、その刺激に耐えきれずに前を弾けさせた。
「あっ・・あぁあああ・・」
ビクビクと全身が痙攣する。
響がイクのは、今夜はこれで3度目だった。
その後すぐ、最奥に熱い迸りを感じた。
ぐったりと滝沢に凭れかかり、そのまま意識を失った。
目が覚めたら朝だった。
いや、朝というよりは もう昼だ。
カーテンの合わせ目から漏れる日差しが眩し過ぎる。
「響さん 起きてますか?」
控え目にドアがノックされる。
「ん・・起きてるよ。」
そう答える声は、自分でも驚くほど掠れていた。
それは昨夜も 散々啼かされた所為だということはもう分かっているから気にしない。
ドアが開いて、保田が顔を覗かせた。
こちらを見ないように、視線を、彷徨わせている。
「朝食の用意が出来てます。すぐ召し上がりますか?それともシャワーを先に?」
「ごめん シャワー先にする。」
そう言って、気だるい仕草で もそもそと起き上がりベッドから出ようとしたら、保田が顔を赤くして、慌てて部屋を出て行った。
滝沢と身体の関係が出来てから、保田の態度が少し変わった。
男同士だし、パジャマも着ているんだから 何が恥ずかしいのかと思うが、保田からしてみれば、自分は男の部類に入ってないのかもしれないと思い当たり、ちょっと嫌な気分になる。
上司の囲いもののわけだから、女じゃなくても女みたいなもんか・・
そう自嘲しかけて、バカバカしくなって止めた。
当の保田といえば、情事後のフエロモン垂れ流しの しどけない姿の響を単に正視できないだけだったのだが、響はその保田の行動を変に誤解してしまっていた。
10日程前、突然、滝沢に旅行に連れて行かれた。
ちょっとそこまで出掛けるだけだと思い付いて行ったら、空港で、いきなりチケットとパスポートを渡され驚いた。
着いた先は、南国の楽園タヒチ。
どうやら鬱々としていた俺に気分転換させる為に連れていってくれたらしい。
確かに気分転換にはなったが、つい そこで雰囲気に流され、あんなことを許してしまったのは、失敗だった・・
完全に滝沢のペースに嵌っている。
今更 それに気づいても遅い。
旅行から帰ってきてからというもの毎晩のように滝沢に求められ、最初は、抵抗するものの、触られてしまえば気持ちいいこと身体が知っている所為で、結局、抵抗しきれなくなり、気がつけば、散々翻弄された揚句、意識まで手放している体たらく。
そして、今日のように 毎日半日をベッドの上でだらだらと過ごす羽目に陥っていた。
『・・流されている・・っていうか流され過ぎだって・・』
シャワーの飛沫を浴びながら、プルプルと頭を振る。
『確かに、あれ以来、滝沢の帰宅は早くなって、前以上に優しくなったけど・・』
おかげで夜もぐっすり眠れるようにもなった。
と、いうより、行き過ぎる快感に意識を飛ばし 知らない間に そのまま気を失うように寝てしまっているのが現状だ。
『だけど、俺が3回もいかされて、それなのに滝沢が1回しかいってないのはどういうことだよ・・』
その一回さえも実を言えば響の方は、うろ覚えで、それというのも滝沢が達する時には、いつも同時に意識が飛んでいる所為だ。
朝になって目覚めると、知らない間に ちゃんとパジャマさえ着て寝ている。
どうやら滝沢がしてくれているのだと分かって、何だか酷く情けない・・
だが、他にも 少しだけいいこともあった。
旅行先で、家族に土産をどうしようか迷っていると(選んでからお金を持っていないことに初めて気づいたからだ)滝沢が手にしたそれらをむんずと響の手から掴み取ると何も言わずに買ってくれた。
日本に着いてから、滝沢が それらの土産を実家に送る手配をした後、土産を送ると知らせてやれと言われ、家族に電話も掛けさせてくれたのだ。
滝沢から携帯を渡され、ドキドキしながら掛けた。
「響なの?」
久し振りに聞いた母親の声は少しも変わってない。
「ったく、あんたは ちっとも連絡を寄こさないんだから。」
のっけからいきなりブツブツ小言を言われ思わず苦笑が漏れた。
電話の向こうで、子どもの賑やかな声が聞こえる。
「筝子のところの子が来てるのよ。」
と、母親が嬉しそうに言った。
どうやら、筝子姉もいるらしい。
「あんたも早く結婚して早く親を安心させてくれないとね。
のんびり構えてるとすぐ、30なるわよ。
今、誰か付き合っている人はいるの?
いないなら、母さんが誰か・・」
「そのことは心配しなくても 自分でちゃんと見つけるから。
あっ、旅行に行ったから土産送っておいたから。」
話がどんどん変な方向に流れていきそうになって、響は慌てて用件を伝えて電話を切った。
今は恋人を作るどころじゃないんだって・・
まさか母親に、記憶の一部を失った挙句 借金の所為で、マンションの一室に閉じ込められているとも言えない・・
だが、あの様子では、こちらのことは まったく何も知らないようだと安心した。
それから、近くのコンビニとか本屋くらいになら出掛けても良いことになった。
ただし護衛付きが条件だ。
護衛じゃなくて、逃げないように監視だろ!と言ってやりたかったが、余計なことを言って機嫌を損ねるのも拙いので我慢した。
その内、仕事にも出してもらえそうだったから 気持ちも自然と上向きになっていた。
以前の職場には、もう戻れないそうだが、坂下さんが違う職場を探してくれているらしい。
旅行から帰った翌日に連絡がきて、
「それまで、ちゃんと社長の機嫌を取っておいて下さいね。そうしないといつ社長の気が変わって取り消しになるか わかりませんよ。」
そう脅されて、渋々こうして なるべく いい子にしているわけだ。
今のこの現状を深く考えると落ち込みそうなので、あまり考えないことにした。
『落ち込んだって事態が良くなるわけでもないからな・・』
それに良くわからないが、滝沢に抱かれていることで、なぜか精神が安定してきていた・・
『かなり欲求不満だったのか?』
あんなに不安で嫌悪感いっぱいに想像していた行為も、実際抱かれてしまうと、自分でもびっくりするほど、その嫌悪感は無くなっていた。
気持ちも良すぎて 半ばなし崩し的になっている所為もあるが、それも旅行の前のあのギスギスした嫌な関係を思い出せば、今のほうがマシだと思うことにして割り切った所為かもしれない。
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